致命的な問題点
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| ここにお示しする例は特別な一例ではなく、介護認定の課程の中でごくあたりまえに遭遇する一例です。 |
- 基本調査項目73項目のうち第7群(問題行動に関連する項目)の1ヶ所のチェックを「ときどきある」から「ない」に変更したら(図1)、要介護等認定基準時間がなんと22分も増え、介護度1から介護度3に上がってしまったのです。(図2)
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(図1) |
(図2) |
- では、どうしてこんな事が起こってしまったのでしょう。それは一次判定のバラツキを押さえようと7つの中間評価項目を設定し樹形モデルの中で枝分かれの選択肢として使ったからです。ここまでの発想は良かったのですが、7つのうちの一つ第7群(問題行動に関連する項目)は介護度別にみた中間評価項目の平均得点ではその介護度にほとんど関与していないのです(下の表参照)。その「問題行動」の得点を分岐に使ったのがひとつの原因です。
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自立 |
要支援 |
要介護1 |
要介護2 |
要介護3 |
要介護4 |
要介護5 |
| 第1群 麻痺・拘縮に関連する項目 |
97.2 |
93.1 |
86.8 |
79.8 |
72.6 |
60.4 |
50.0 |
| 第2群 移動等に関連する項目 |
98.8 |
94.0 |
89.5 |
79.7 |
50.2 |
26.9 |
14.3 |
| 第3群 複雑な動作等に関連する項目 |
94.0 |
74.5 |
59.6 |
43.3 |
19.8 |
8.7 |
4.3 |
| 第4群 特別な介護に関連する項目 |
99.7 |
98.8 |
96.8 |
88.5 |
65.4 |
49.0 |
37.8 |
| 第5群 身の回りの世話等に関連する項目 |
98.1 |
89.6 |
75.3 |
55.4 |
24.7 |
11.3 |
6.7 |
| 第6群 コミュニケーション等に関連する項目 |
99.3 |
93.7 |
90.0 |
84.3 |
67.9 |
59.9 |
52.2 |
| 第7群 問題行動等に関連する項目 |
99.3 |
94.2 |
93.0 |
89.8 |
87.0 |
89.7 |
92.6 |
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- 右の図(図3)は、機能訓練関連行為の樹形モデルの一部ですが、見てお分かりの通り「問題行動」が枝分かれの選択肢として使われています。「問題行動」の得点が94.9以下の場合は左に分岐し、機能訓練関連行為の基準推定時間は4分となります。反対に分岐した場合は「身の回りの世話」以下の分岐を経て、最小で6分、最大で26分の基準推定時間となるわけです。
- もうすこし詳しく説明しますと、「問題行動」などの7つの中間評価項目は状態像より100点満点として評価します。問題行動に関連する項目のすべての項目(項目数19)が"ある"の場合は0点、すべてが"ない"の場合は100点となります。
- (図1)をみると変更前は【タ.物や衣類を壊したり、破いたりすることが】と【チ.不潔な行為を行うことが】が"ときどきある"になっており、それぞれの得点は"ない"の場合より、それぞれ4.9、2.9下がることになります。その結果、第7群(問題行動)の得点(図4)に示すように、100-4.9-2.9=92.2となります。そうすると、(図3)の分岐は左へ進み機能訓練関連行為の基準推定時間は4分となるわけです。
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(図3) 介護保険のまどより一部抜粋 |
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(図4) |
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- もう一度(図1)をみて下さい。次は【チ.不潔な行為を行うことが】が"ときどきある"を"ない"に一ヶ所だけ変更してみました。他の72項目については何一つ変更していません(それは(図4)の第1群から第6群までの得点が変わってないことで解ります)。この変更によって第7群(問題行動)の得点(図4)に示すように、100-4.9
-2.9=95.1となります。そうすると、(図3)の分岐は右へ進み「身の回りの世話」へ行きます。この「身の回りの世話」も「問題行動」同様中間評価項目の一つで、第5群に位置しますので、(図4)を見てお分かりのようにその得点は83.8で分岐の条件である76.6よりも大きいのでさらに右に進むことになります。そこで、この例の場合は浴槽の出入りを"自立"として入力しましたので、選択肢は"一部介助"以外ですから右に進み、変更後の機能訓練関連行為の基準推定時間は26分となるわけです。(ちなみに、この例の調査項目の組合せは、一次判定警告コードには引っかかっておりません)
- この「問題行動に関連する項目」は9つの樹形モデルのうち4つの樹形モデルで述べ9ヶ所で枝分かれの選択肢として使われています。こんなプログラムで公平・公正な認定が行われるとはとても思えません。
- 問題行動に関連する項目の【チ.不潔な行為を行うことが】のたった1項目を"ときどきある"を"ない"に変更しただけで、基準推定時間が22分も増えてしまい、介護度が2ランクも上がってしまたったのです。
- もう一度確認しておきます。状態像が悪い方に動いて介護度が上がるならまだしも、状態像が良くなったにもかかわらず2ランクも介護度が上がるなんてことがあっていいのでしょうか。(かなり感情的)(笑)
- たまたまこの例は変更前の要介護認定等基準時間が49分と介護度2に1分足らない状況であったので、介護度が2ランク上がるということになってしまいましたが、このような事例は極めて稀なことではないのです。
- どうしても納得できない、または確認したいという方は、どうぞここで確かめてみてください。ページが開いたらそのまま一番下の「判定する」を押してください。要介護度1と判定されます。次はブラウザの「戻る」で戻って、"7のチ"の「不潔な行為を行うことが」を「ときどきある」から「ない」に変更してもう一度判定してみてください。今度は要介護度3と判定されるはずです。
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- この例は、変更前、変更後も「問題行動のある事例」ということですから、厚生省の示した『要支援状態及び要介護状態区分別状態像の例』では対応できないと言うことになります。
- そもそもこのシステムには致命的な欠点が二つあります。ひとつは「1分間タイムスタディ・データ」の収集と分析の不備、もう一つは一次判定プログラムのロジックの間違いです。これについては日本医師会のシンクタンク・日医総研のページをご覧ください。詳しく掲載されています。
- こんなオンボロ一次判定プログラムで介護認定を任された介護認定審査会は一体どうなるのでしょう。
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