小田原の特養ホームが書類改ざん?」は起こるべくして起きた!!
 5月18日付の毎日新聞に、神奈川県小田原市の特養で調査票が改ざんし、入所者の症状を重く記載していたとの報道があった。「とうとう表に出たか」というのが、ボクの感想である。

 4月からスタートした介護保険ではケアマネージャーの囲い込みの問題が取りざたされているが、この調査員の件も根は同じである。事業所に身を置くのであるから、その関連施設にサービス事業者があれば、そのサービス利用を優先するのは至極当たり前のことだと思う。ケアマネージャーの心得としてそのようなことはあってはならないと実務研修の際に何度も耳にしたが、そんなことが現実として成り立たないことは誰もがその時に気づいていたはずである。

 例えが適切かどうか分からないが、自社製ではないマイカーで通勤するセールスマンがいるだろうか? 自社の車より他社の方が勝っていたとしても、自社の車に乗るのは当然のことであり、他者の車に乗っていたのではセールスもうまくいかないだろうし、会社での評価もままならないのでないだろうか。

 小田原の特養のケースでは施設長が調査を担当する職員に対し、あからさまに調査の書き直しを命じており弁明の余地はないが、施設の経営を考えたとき入所者の要介護度は直接収入に反映されることを考えればあながち無理もない話である。調査員にしても自施設の収益が自分の給与に跳ね返ってくることは百も承知であることからすれば、たとえ上から指示されることがなくとも、自ら調査結果を重く記載するともあり得ることである。ボクの担当する審査会でも、訪問調査を自施設の職員に依頼している自治体があるが、行政の調査員、すくなくとも別法人の調査員に委託すべきである。

 ケアマネージャーの囲い込みや、今回の調査の問題は何もこの制度が始まってから取りざたされていることではなく、この制度のシステムが組み立てられる課程で既に十分予想されていたのである。公平・公正をうたい文句にしているこの制度の根幹に関わるシステム作りにおいて重大なミスを厚生省がおかしていたと言うことである。

 それはどういうことかというと、介護保険制度の先輩であるドイツ方式を採用しなかったことが一番の理由だと思う。なにもドイツ方式のすべてが良いというのではなく、調査、認定、ケアプランの課程を独立した第3機関に任せるというシステムのことである。ボクはモデル事業の時からこのことを主張し、このページでも何回か取り上げているが、今回のケースは起こるべくして起きたもので、氷山の一角に過ぎないのではないだろうか。

 オンボロ一次判定ソフトといい、今回のことといい、すべてはこの国の厚生省とかいうところの浅はかさが招いたことである。

ps.この毎日新聞の記事については、確か5月13日ごろだったと思うけど担当記者より電話取材を受けた。内容は「小田原の特養で調査票の改ざんが行われているようであるが、調査項目を一項目変更しただけで、要介護度が変わることはありますか?」というものであった。それに対し、ボクは「当然あり得ることだし、2段階変わることもあるし、逆に要介護度が変更とは逆の方に2段階変わることもある」と答えた。それについて記者は「えっ、そんなことがあるの?」といった感じであった。「何だこいつ、介護保険の記事を書くのにそんなことも知らないのか」と、心の中で叫んでいた。介護保険を担当する新聞記者でさえこの程度なのだからと思うと、本当に情けないというのがボクの感想です。

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