データが裏付ける一次判定ソフトの欠陥!!
 ボクは5月25日に開催された塩谷郡市医師会の「介護認定の平準化を考える」というパネルディスカッションに参加した。パネラーの一人として従来から指摘している厚生省の一次判定ソフトの問題点を訴えた。その詳細は5月27日付の下野新聞に掲載されているのでそちらを見てください。

 パネルディスカッションに際し、我々医師会の介護保健担当の小林先生(喜連川町)が、塩谷郡市一市四町の介護認定の状況をまとめられた資料の中に、とても興味深い結果がある。それは二次判定において一次判定を変更する率を在宅と施設にわけて見たもので、以下に示します。

全体 件数 変更率
総数 1703件  
二次判定での変更 487件 28.6%
  上昇 327件 19.2%
下降 160件 9.4%
在宅 件数 変更率
総数 1129件  
二次判定での変更 304件 26.9%
  上昇 168件 14.9%
下降 136件 12.0%
施設 件数 変更率
総数 574件  
二次判定での変更 183件 31.9%
  上昇 159件 27.7%
下降 24件 4.2%

  まず最初に示すたのは二次判定での変更をみたものです。左が全体、真ん中が在宅、右が施設ですが、在宅・施設間で変更率に大差はみられません。ただ、上昇・下降に目を向けるとその違いは歴然としています。それではどうしてこのような結果になるのでしょう。
■施設入所者は在宅者に比べて痴呆の割合が高いが、一次判定ソフトが痴呆に対応していないため。
■施設入所者の生活環境が在宅者のそれに比べ整備されているために、調査票に反映されにくい。
■審査会が施設入所者の要介護度変更にあたり、上方への変更を意識している。

 確かに審査員の心理としては入所者の要介護度を下げるということには抵抗があると思います。また調査票に反映し切れていないということもあるでしょう。でもこの本当の理由はオンボロ一次判定ソフトが、施設入所者に多い痴呆を反映することが出来ないためです。この資料はその欠陥を如実に現しています。

 次に違う角度からみた在宅と施設の資料をお見せしましょう。
在宅 二次判定
自立 要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5



自立 59 7 2        
要支援 5 85 19        
要介護1   29 210 53 1 1  
要介護2   3 20 142 23 7  
要介護3 1   4 25 97 28 3
要介護4       1 17 103 24
要介護5 1     1 4 25 129
  合計 66 124 255 222 142 164 156
 
施設 二次判定
自立 要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5



自立 3 3          
要支援   10 3        
要介護1   1 73 25      
要介護2       46 20 1  
要介護3       6 74 52 7
要介護4         1 90 48
要介護5         1 15 95
  合計 3 14 76 77 96 158 150

 これは在宅と施設毎の一次判定から二次判定の変更の幅を現したものです。在宅者の変更幅(バラツキ)が施設入所者に比べて大きいことがわかります。それではこれにはどのような理由が考えられるでしょう。
■一次判定ソフトの元になったデータは施設入所者だけであるため。
■施設入所者の要介護度の中心が要介護4・5にあるため、これ以上要介護度を上げられないため。
■一方在宅者の中心は要介護度1であるので、変更幅がとりやすいため。

 審査会においては状態像を念頭において判定するということが大切で、申請者が在宅か施設かということは判断の材料にはしてはならないことになっている。しかし実際は考慮せざるを得ないという側面もあることも事実である。しかしそう考えたなら、一次判定において要介護度が低い施設入所者の変更幅が大きくなるはずなのにそうはなっていない。ということは、少なくとも塩谷郡市の審査会においては施設入所者に対しも、状態像に見合った判定を厳格に行っているということに他ならない。
 そうなのです。原因は一次判定ソフトが施設入所者だけを対象にデータどりをして作られているからなのです。

結論
一次判定ソフトは
痴呆を有した者の判定において、まったく機能していない。
■在宅者の判定において、極めてアバウトな判定結果しか出し得ない。

 これには厚生省の大きなミスが2つ関与している。
 一つは1分間タイムスタディーの対象者3400人余りのすべてが施設入所者であるということ。
 もう一つは実際にロジック作成に使われたのは3400人余りのうち、痴呆や問題行動を有していない700人であったということ。

 厚生省のお役人さんへ。

 もう、このソフトを早く見直してくださいなんて言いません。お願いですから、一日も早くお蔵入りさせてください。葬り去ってください。この一次判定ソフトは何の役にも立っていません。邪魔なだけです。
 

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