「一次判定の例外事例の処理」が意味するもの
 一次判定ソフトでは、「一次判定の例外事例の処理」なるものが行われています。今回はこの取り扱いの根拠となった資料を入手したので以下にお示しします。

一次判定の例外事例の処理

一次判定においては以下の点から例外事例の処理を行うこととする。

1、樹形モデルを用いた介護に要する時間の推計から、「要支援」又は「要介護1」と判定される者のうち、
・心身の状況に関する調査結果(73項目)から見て、3項目以下の項目に該当がある者については、「自立」とする処理を行う。
←10年度試行的事業において、二次判定で「要支援」等から「自立」に変更された者のうち、3項目以下に該当していたものが過半数である。

2、同様に、時間推計上「自立」と判定される者のうち、
・10項目以上に該当がある者については、「要支援」とする処理を行う。
←10年度試行的事業において、二次判定で「自立」から「要支援」に変更された者のうち、10項目以上に該当していたものが過半数である。

 なお、これらの者についても、二次判定において、主治医意見書及び特記事項の内容に基づき、要介護度別に示される「状態像の例」に照らして審査判定が行われることとなる。

 

平成10年度試行的事業の二次判定で「要支援」等から「自立」に変更された者の有所見項目数

項目数 人数 割合 累積割合
1 11 28.9% 28.9%
2 7 18.4% 47.4%
3 3 7.9% 55.3%
4 5 13.2% 68.4%
5 3 7.9% 76.3%
6 3 7.9% 84.2%
7 3 7.9% 92.1%
8 1 2.6% 94.7%
9 0 0.0% 94.7%
10 0 0.0% 94.7%
11 2 5.3% 100.0%
合計 38 100.0% 100.0%

平成10年度試行的事業の二次判定で「自立」から「要支援」に変更された者の有所見項目数

項目数 人数 割合 累積割合
0 2 1.2% 1.2%
1 0 0.0% 1.2%
2 6 3.6% 4.8%
3 6 3.6% 8.4%
4 10 6.0% 14.5%
5 8 4.8% 19.3%
6 7 4.2% 23.5%
7 10 6.0% 29.5%
8 16 9.6% 39.2%
9 16 9.6% 48.8%
10 13 7.8% 56.6%
11 10 6.0% 62.7%
12 11 6.6% 69.3%
13 14 8.4% 77.7%
14 8 4.8% 82.5%
15 6 3.6% 86.1%
16 5 3.0% 89.2%
17 5 3.0% 92.2%
18 5 3.0% 95.2%
19 2 1.2% 96.4%
20 2 1.2% 97.6%
21 2 1.2% 98.8%
22 1 0.6% 99.4%
23 0 0.0% 99.4%
24 1 0.6% 100.0%
合計 166 100.0% 100.0%
※平成10年度試行的事業から無作為に抽出した16,380例を対象としている。

 この処理方法は図らずも厚生省の作った一次判定ソフトのお粗末度を露呈している。1分を境に介護保険給付が受けられるかどうかという大切なところの振り分けにおいても、まったくもって機能していないのです。
 要するに73項目のチェック項目のうち3項目以下のチェックであれば「自立」、10項目以上であれば「要支援」に判定するというのは、あまりにもいい加減です。何故かというと、そのチェックは73項目のうちいずれでもよく、またその程度にも関係ないのです。言い換えれば数だけで判定し、その中身(障害の程度、介護の手間)は全然考慮していないということです。
 厚生省は従来から個々のチェックの有無あるいはその程度は要介護度を左右するものではないと言っていながら、この大切な部分を、チェックの数だけで振り分けているのです。そんなことは厚生省だってまずいことは知っています。それでもこのような処理をしなければいけないほどこのプログラムはオンボロということです。

 もう一つ付け加えますと、この不具合は「自立」と「要支援」の振り分けに限ったことではないのです。すなわち要介護度判定において7つのランクに分けられるほどの精度は到底ないということです。チェックの箇所やその程度が複雑に組合わさるほど、その精度は落ちてくるのです。。

 ですからこの一次判定ソフトで介護の手間を図るとすれば、「ほとんど介護の手間を要しない」、「ほどほどに介護の手間を要する」、「かなりの介護の手間を要する」位の3ランクがいいところでしょうか。

 一刻も早い一次判定ソフトのお蔵入りと、状態像の例を基準とした認定審査の確立をなくして、公平・公正な介護認定はあり得ないという理由はここにあるのです。

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