塩谷郡市医師会介護保険委員会作「痴呆のアセスメント表」(平成13年9月26日)
 厚生省の一次判定プログラムの不具合、特に痴呆による介護の手間を反映できないことは介護認定において大変大きな問題であることは周知の事実です。

 そこで我々塩谷郡市医師会ではCPSスコアーを早期より採用し、要介護度判定の参考としてきました。その経過の中で、主治医意見書よりはじき出されるCPSスコアーと基本調査項目73項目中、痴呆が関与する5群の一部、6群、7群について相関関係を検証しました。その結果、「日課の理解」や「食事の状況」などで相関関係を認めることはできたが、その他の項目については期待通りの相関はえられなかった。(塩谷郡市医師会介護保険のページ参照)

 これはCPSスコアーが即要介護度ではないこと、痴呆の程度と介護の手間が必ずしも一致していないことからすれば至極当然の結果であるように思われるが、その反面、主治医意見書のCPSスコアーの元となる「心身の状態に関する意見」のチェック基準が主治医ごとにまちまちであることも明らかになりました。

 そこで我々塩谷郡市医師会介護保険委員会では、意見書チェック時の簡易アセスメント表を作成しました。チェックの平準化と簡便さが目標とし、容易に習熟可能であり、短時間で判断できることを目指しました。

痴呆のアセスメント表

塩谷郡市医師会介護保険委員会

短期記憶
0.問題なし
1.問題あり
記憶に残るような直前の(2〜3分前)ことを覚えているかを評価する。
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-「)設問CとFで判定

Cこれから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
   1:桜、猫、電車、2:梅、犬、自動車、のいずれか。
F先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
これら2つの設問に、すべて答えられたら「問題なし」、1つでも答えられなかったら「問題あり」とする。(記憶障害は、痴呆の中核症状であることから、これを重視し、少しでもおかしければ「問題あり」とした。)
■日常の意思決定を行うための認知能力
質問の例
 1.毎朝自分で着替えができますか?(#1)
 2.いま何時ですか?(#2)
 3.ボールペンを見せて「これは何ですか?」、ついで「何に使う物ですか?」(#3)

毎日の日課を、予定や状況に合わせ、本人の価値観に従い、どの程度自分の判断でなしとげるかを評価するもので、
#1では、自分で衣類を取り出し、順序よくきちんと着られるかどうか、暑さ寒さに合わせ、何を着るかを選べるかなど。
#2では、日課をなしとげるにあたり、身の回りにある時計やカレンダーを活用できるかどうか。
#3では、日常よく使われるボールペンを認知でき、しかもその用途を理解しているかどうか。
判定
0.自立 首尾一貫して判断が的確である。予定、状況に合わせて合理的な判断ができる。
1.限定的に自立: 日々繰り返される日課については判断できるが、新しい事態に直面したときにのみいくらか困難がある。
2.中等度の障害: 判断力が弱く、毎日の日課をこなすために合図や見守りが必要である。
3.重度の障害: 判断できないか、まれにしか判断できない。
■自分を理解させることができる能力(自分の意思の伝達能力)
質問の例
1.「何か食べたい?」「何か欲しい?」
2.「食べたい」「欲しい」と答えたら、「何が食べたい?」「何が欲しい?」
  「食べたくない」「欲しくない」と答えたら、「どうして食べたくない?」「「どうして欲しくない?」
 と二段階の質問をしてみる。

 そして、その答えが具体的で生理的な要求(食事、トイレ、痛い、痒いなど)の範囲、たとえば、オウム返しのように「食べたい?」「食べる」、「オシッコ出ますか?」「出ます」程度のごく簡単な返答なら、下記の判定の2もしくは3に該当、「マグロの刺し身が食べたい」「ショートケーキが食べたい」「まだ、おなかが空いていないので、もう少し待ってください」などと普通の返答ないしは会話が出来たら、判定は0もしくは1となる。

 本人が、要求や二一ズ、緊急の問題などを表現したり伝えたりする能力や日常会話能力を評価する。会話に限らず、筆談、手話あるいはそれらの組み合わせによって表現される内容で評価してもさしつかえない。

判定
0. 理解させることができる(伝えられる)
1. 通常は理解させることができるが、言葉を思い出したり考えをまとめるのが困難(いくらか困難)、少し相手の促しを要す。
2. 時々は理解させることができるが、その能力は具体的な要求、欲求(食事、トイレなど)に限られる。
3. ほとんと、またはまったく理解させることができない(伝えられない)

 なお、これらは、本人をはじめとして家族、施設職員から直接話を聞いたり、本人の言動をつぶさに観察し、また、カルテなどの記録を参考にして判定する。  

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