「動ける痴呆」「元気なボケ」の介護認定、これで本当に大丈夫?
 介護認定審査会委員現任研修会は、広域の福祉圏域の審査会を対象にして行われる。それぞれの合議体からランダムに選んだ10人前後の審査員を1チームとして、与えられた同一事例に対してそれぞれでグループワークを行い、最後に全体発表・質疑応答が行われる。

 今回、栃木県の研修会に提示された事例は、いわゆる「動ける痴呆」「元気なボケ」と称されるものであり、痴呆を有する申請者に対する二次判定の問題点を考慮したと思われるものです。

 研修会で配られた認定調査票主治医意見書を掲載いたしましたので、みなさんだったら要介護度をいくつにするか考えてみてください。

 さて、現任研修会に参加した審査員はどのように二次判定したでしょう。約8割が「要介護度3」、残りの1割が「要介護度4ないし5」、「要介護度1ないし2」でした。

 オンボロ一次判定プログラムは当然のごとく"要介護1"というとんでもない介護度を打ち出していますが、これをそのまま二次判定するような、すなわち「要介護度1ないし2」と判定した審査員は間違いなく落第です。「要介護度3」とした審査員も不合格だと思います。この事例は「動ける痴呆の最も厄介なケース」の典型例で、状態像、介護の手間から考えたら「要介護度4以上」が妥当だと思います。

 残念ながら審査会委員の9割が適切な二次判定が出来なかったことになります。その一番の理由は「オンボロ一次判定」にあります。それは審査員が二次判定する場合、どうしても一次判定からの変更幅を無意識のうちに考えているからで、1〜2段階の変更に対し3段階以上の変更には少なからずも抵抗感があるからだと思います。ボクが常々言っている"一次判定結果は完全無視"というのはここにあります。

 ところで、日本医師会が"「痴呆患者に対する二次判定方法」の手引き"なるお粗末なものを作ったようですので、これについては後ほどふれることにします。

介護認定審査会資料(認定調査票による一次判定結果)


コード番号
フリガナ
氏名

年齢:

65

性別:

住所
電話番号
前回の認定審査会結果 -
前回認定有効期間 -間 (H12//〜H12//)
前回介護保険審査会結果 -
一次判定結果 要介護1
直接生活介助 19分
<整容> (7.6分)
<入浴> (0.9分)
<排泄> (4.1分)
<移動> (1.9分)
<食事摂取> (3.9分)
間接生活介助 6分
問題行動関連介助 3分
機能訓練関連行為 2分
医療関連行為 7分

<特別な医療>

(分)
要介護認定等基準時間 37分
(機能訓練+間接生活介助) 8分


障害老人自立度:正常 痴呆老人自立度:Va
寝たきり度・痴呆度別から見た推定要介護度:0.2

中間評価項目表

赤線は要介護1の平均得点(厚生省提供)

中間評価項目得点

第1群 第2群 第3群 第4群 第5群 第6群 第7群
100 89.9 100 94.9 68.5 93.6 43.7

中間評価項目の得点分布から見た推定要介護度

  第1群 第2群 第3群 第4群 第5群 第6群 第7群
自立 - - - - - -
要支援 - - -
要介護1 - -
要介護2 - - -
要介護3 - - - - -
要介護4 - - - - - -
要介護5 - - - - - - -

<特別な医療>
1. 点滴の管理 7. 気管切開の処置
2. 中心静脈栄養 8. 疼痛の看護
3. 透析 9. 経管栄養
4. ストーマの処置 10. モニター測定
5. 酸素療法 11. じょくそうの処置
6. レスピレーター 12. カテーテル
第1群
(麻痺拘縮)
1. 麻痺 (左−上肢)
(右−上肢)
(左−下肢)
(右−下肢)
(その他)
2. 拘縮 (肩関節)
(肘関節)
(股関節)
(膝関節)
(足関節)
(その他)

第2群
(移動)
1. 寝返り
2. 起き上がり
3. 両足での座位
4. 両足つかない座位 支えが必要
5. 両足での立位
6. 歩行
7. 移乗

第3群
(複雑動作)
1. 立ち上がり
2. 片足での立位
3. 浴槽の出入り
4. 洗身

第4群
(特別介護)
1. ア. じょくそう
イ. 皮膚疾患 ある
2. 片手胸元持ち上げ
3. 嚥下
4. ア. 尿意
イ. 便意
5. 排尿後の後始末 間接的援助
6. 排便後の後始末
7. 食事摂取

第5群
(身の回り)
1. ア. 口腔清浄
イ. 洗顔
ウ. 整髪
エ. つめ切り 全介助
2. ア. ボタンかけはずし
イ. 上衣の着脱
ウ. ズボン等の着脱
エ. 靴下の着脱
3. 居室の掃除 全介助
4. 薬の内服 全介助
5. 金銭の管理 全介助
6. ひどい物忘れ
7. 周囲への無関心

第6群
(意志疎通)
1. 視力 1m先が見える
2. 聴力
3. 意思の伝達 ときどきできる
4. 指示への反応
5. ア. 毎日の日課を理解
イ. 生年月日をいう
ウ. 短期記憶
エ. 自分の名前をいう
オ. 今の季節を理解
カ. 場所の理解

第7群
(問題行動)
ア. 被害的
イ. 作話
ウ. 幻視幻聴 ある
エ. 感情が不安定 ある
オ. 昼夜逆転 ある
カ. 暴言暴行 ある
キ. 同じ話をする
ク. 大声をだす
ケ. 介護に抵抗 ある
コ. 常時の徘徊 ある
サ. 落ち着きなし ある
シ. 外出して戻れない ある
ス. 一人で出たがる ある
セ. 収集癖 ある
ソ. 火の不始末
タ. 物や衣類を壊す
チ. 不潔行為
ツ. 異食行動
テ. 性的迷惑行為 ときどきある

認定調査票(特記事項)

1 麻痺・拘縮に関連する項目についての特記事項
 1-1 麻痺等の有無,1-2 関節の動く範囲の制限の有無
 (  )
 (  )
2 移動等に関連する項目についての特記事項
 2-1 寝返り,2-2 起き上がり,2-3 両足がついた状態での座位保持,2-4 両足がつかない状態での座位保持,2-5 両足での立位保持,2-6 歩行,2-7 移乗
 (  )
 (  )
3 複雑な動作等に関連する項目についての特記事項
 3-1 立ち上がり,3-2 片足での立位保持,3-3 一般家庭用浴槽の出入り,3-4 洗身
 (  )
 (  )
4 特別な介護等に関連する項目についての特記事項
 4-1 じょくそう,4-2 片手胸元持ち上げ,4-3 嚥下,4-4 尿意・便意,4-5 排尿後の後始末,4-6 排便後の後始末,4-7 食事摂取
 4-1イ.両足に水虫がある。
 4-5)  便器の汚れがあり、家族が掃除する。
5 身の回りの世話等に関連する項目についての特記事項
 5-1 清潔,5-2 衣服着脱,5-3 介護側の指示への反応,5-4 薬の内服,5-5 居室の掃除,5-6 金銭の管理,5-7 ひどい物忘れ,5-8 周囲への無関心
 5-1ア.イ.ウ.毎日する習慣はないが、汚れた時や気がむいた時は自分でする。
 5-1エ.    自分ではまったくする気がなく、デイサービス時に切ってもらう。 
6 コミュニケーションに関連する項目についての特記事項
 6-1 視力,6-2 聴力,6-3 意思の伝達,6-4 指示への反応,6-5 理解
 6-5ア.    デイサービスに行く日を楽しみにしている。
 6-5イ.エ.カ.生年月日、名前、所番地をいえる。
 6-5ウ.    寝ていた。
 6-5オ.    「これからお正月になるなあ」と言う。
7 問題行動に関連する項目についての特記事項
 7 行動
 ウ.オ日中、夜間に限らず、独語があり、泣いたり笑ったりし、妻を起こしたりする。
  )排泄後、ねまきへの飛びはねなどあり、着替えを勧めても行わず、家族が着せようとしても手を払いのけたり、「うるさい」「イヤダ」といったりする。
  )だまって家を出てしまい、となりの畑のものを食べたり、近所の家に入ったりする。
  )デイサービス時、他人のおやつをとって食べる。
 ソ )以前、火の不始末があり、たばこをやめさせようとしたが、紙をまるめて火をつけたり、割りばしに火をつけたりしたので、1日の本数を決め、喫煙中は監視している。
  )外で排尿し、ペニスを出したまま歩いてしまう。
8 特別な医療についての特記事項
 8 特別な医療
 (  )
 (  )
主治医意見書
申請者 (ふりがな)
 ・
〒   −

  連絡先       (          )                 
 
明・大・昭  年  月  日生(   歳)
上記の申請者に関する意見は以下の通りです。
本意見書が介護サービス計画作成に利用されることに  □同意する。□同意しない。

医師氏名                                                                   
医療機関名                                                                       電話                                 
医療機関所在地                                                               FAX                                 

(1) 最終診察日 平成   年   月   日
(2) 意見書作成回数 初回  □2回目以上
(3) 他科受診の有無
□有  
(有の場合)→□内科□精神科□外科□整形外科□脳神経外科□皮膚科□泌尿器科□婦人科□眼科□耳鼻咽喉科□リハビリテーション科□歯科□その他(            )

1.傷病に関する意見
(1) 診断名(特定疾病または障害の直接の原因となっている傷病名については1.に記入)及び発症年月日
1. 老年痴呆      発症年月日 (昭和・平成  9年   月   日頃 )
2. 発症年月日 (昭和・平成   年   月   日頃 )
3. 発症年月日 (昭和・平成   年   月   日頃 )
(2) 症状としての安定性 安定 □不安定 □不明
(3) 介護の必要の程度に関する予後の見通し □改善 □不変  悪化
(4) 障害の直接の原因となっている傷病の経過及び投薬内容を含む治療内容
(最近6ヶ月以内に変化のあったもの及び特定疾病についてはその診断の根拠等について記入)

 平成9年頃より、易怒性、物を盗む等の問題行動あり。
 以後、徐々に進行している。

 


2.特別な医療 (過去14日間以内に受けた医療のすべてにチェック)
処置内容 □点滴の管理 □中心静脈栄養 □透析 □ストーマの処置 □酸素療法
□レスピレーター □気管切開の処置 □疼痛の看護 □経管栄養
特別な対応 □モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等) □褥瘡の処置
失禁への対応 □カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル等)

3.心身の状態に関する意見
(1) 日常生活の自立度等について
・障害老人の日常生活自立度(寝たきり度) □正常 □J1 J2 □A1 □A2 □B1 □B2 □C1  □C2
・痴呆性老人の日常生活自立度 □正常 □T □Ua □Ub □Va □Vb W □M
(2) 理解および記憶
・短期記憶 □問題なし 問題あり
・日常の意思決定を行うための
 認知能力
□自立 □いくらか困難 □見守りが必要 判断できない
・自分の意思の伝達能力 □伝えられる □いくらか困難 具体的要求に限られる □伝えられない
・食事 自立ないし何とか自分で食べられる □全面介助
(3) 問題行動の有無(該当する項目全てチェック)
有  □無
(有の場合) → □幻視・幻聴 □妄想 □昼夜逆転 □暴言 □暴行 □介護への抵抗 徘徊
火の不始末 □不潔行為 □異食行動 性的問題行動 □その他(        )
(4) 精神・神経症状の有無
   (症状名    失見当識                 ) □無

(有の場合) 

→ 専門医受診の有無 □有(              ) □無
(5)身体の状態
  利き腕(右 □左) 体重= 63kg 身長= 169cm 
   □四肢欠損 (部位: 程度: □軽 □中 □重)
   □麻痺 (部位: 程度: □軽 □中 □重)
   □筋力の低下 (部位: 程度: □軽 □中 □重)
   □褥瘡 (部位: 程度: □軽 □中 □重)
  □その他皮膚疾患 (部位: 程度: □軽 □中 □重)
  □ 関節の拘縮 ・肩関節□右 □左 ・股関節 □右 □左
・肘関節□右 □左 ・膝関節 □右 □左
  □ 失調・不随意運動 ・上 肢□右 □左 ・体 幹 □右 □左
・下 肢□右 □左

4.介護に関する意見
(1) 現在、発生の可能性が高い病態とその対処方針
  □ 尿失禁 □転倒・骨折 □徘徊 □褥瘡 □嚥下性肺炎 □腸閉塞 □易感染性
  □ 心肺機能の低下 □痛み □脱水 □その他(  )

→ 対処方針(

 )
(2) 医学的管理の必要性(特に必要性の高いものには下線を引いて下さい)
  □訪問診療        短期入所療養介護 □訪問栄養食事指導
  訪問看護        □訪問歯科診療 □その他(                  )
  □訪問リハビリテーション □訪問歯科衛生指導
  □通所リハビリテーション □訪問薬剤管理指導
(3) 介護サービス(入浴サービス、訪問介護等)における医学的観点からの留意事項
  ・血圧について 特になし □あり ( 
  ・嚥下について 特になし □あり ( 
  ・摂食について □特になし あり (摂食についてムラがあり、食べ物をかくす等の行為あり
  ・移動について 特になし □あり (
  ・その他(
(4) 感染症の有無(有の場合は具体的に記入して下さい)
  □有(                      ) 無     □不明

5.その他特記すべき事項
 要介護認定に必要な医学的なご意見等をご記載して下さい。なお、専門医等に別途意見を求めた場合はその内容、結果も記載して下さい。(情報提供書や身体障害者申請診断書の写し等を添付して頂いても結構です。)

 経過、画像所見より、アルツハイマー型老年痴呆を考えます。
 問題としては、性的問題行動(家人(女性)に対し、体をさわる、性器をいじる等)、物を盗む、徘徊、夜間の独語等あり。
 将来的には、精神病院等使用の必要性が出てくる可能性高い。

 

 

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