やっぱりお粗末だった改訂版一次判定ソフト
2月26日、介護認定審査員現任者研修が開催され、この4月に改正される一次判定ソフトおよびその変更にともなう審査法の変更点が説明されました。また、一次判定のロジックもすべて明らかになりましたので、早速プログラムを再構築しました。介護度判定2003として公開いたします。
介護度判定2003を組み上げる過程でわかったことは、「改訂版一次判定ソフトは、相変わらずオンボロ!?」で想定していたとおりだったということです。
ロジックについて
- 現行版と考え方はまったく同じです。樹形モデルを使ったアミダクジ的枝分かれは、介護の手間を統計的手法を使って時間に換算するというものですが、相変わらず状態像と介護の手間の逆転が存在しています。
例えば一例ですが、「食事」に関する樹形図において、食事摂取が一部介助でえん下ができるか見守り等で身の回りが12.7以下で飲水が全介助の時に、すなわち状態像としては、身の回りのことがほとんど出来ないが、食事摂取は一部介助であることから、肢体に障害のある状態像ではなく、痴呆が主体のいわゆる「元気なボケ老人=運動能力の低下していない痴呆性高齢者」を想定することができます。この場合、次の分岐枝の介護に抵抗がない場合は要介護等推定時間は33.2分となり、介護への抵抗がときどきあるかあるの場合は23.8分となります。すなわち元気なボケ老人は、介護への抵抗がある場合の方が、ない場合より9.4分も食事に関わる介護の手間が短いということになっています。
これがまさに状態像の逆転であり、痴呆がある場合にまったく機能しないオンボロロジックの証です。
そこで厚労省が考えたのが「運動能力の低下していない痴呆性高齢者の指標」なるものです。
右は介護認定審査会資料の一次判定結果の部分ですが、ピンクのところがいわゆる「元気なボケ老人の指標」です。
すなわち樹形図から導き出された一次判定結果は、痴呆が存在する場合は実際の要介護度より1〜2ランク低く出てしまうために下駄を履かせたということです。
それではどのように下駄を履かせるのかご説明します。
下駄を履かせる条件は以下の3つです。 |
| 1. |
一次判定が自立〜要介護2であること。 |
| 2. |
79の調査項目の内、立ち上がりや洗身、食事摂取、上衣の着脱など重度変更の要因となるとされる項目や、主治医の意見書からの理解および記憶(CPS)をスコアー化し、条件を満たすものの要介護度を1ランク上げる。 |
| 3. |
上記2の条件を満たし、さらに問題行動のうち「暴言暴行」「大声をだす」「介護に抵抗」「常時の徘徊」「外出して戻れない」「1人で外に出たがる」「火の不始末」「不潔行為」「異食行動」の9つの中で何項目に該当するかで要介護度が2ランク上がります。
すなわち一次判定が自立の場合は1項目以上、要支援の場合は2項目以上、要介護1の場合は4項目以上、要介護2の場合は6項目以上が該当すれば2ランク上がるということです。 |
この方法は痴呆の部分をスコアー化して、そのスコアーを介護の手間(要介護等推定時間)に置き換えたものですが、乱暴極まりないやり方となっています。
その具体例を次に示します。この例は4月の改定にともない提示された状態像の例60の内の一つで、要介護2の状態像として示された要介護2−9そのものです。
私にはこの例は到底要介護2の状態像とは思えません。なぜかといえば、その状態像は問題行動に作話・感情が不安定・暴言暴行・常時の徘徊・落ち着きなし・外出して戻れない・一人で出たがる・不潔行為・異食行動があり、さらに薬の内服や金銭の管理などの身の回りの世話等に関する項目、歩行がつかまれば可等からすれば「元気なボケ老人」の範疇に入るものと思います。要介護4の状態像に近いと考えました。
そこで次のような実験をしました。
第5群(身の回り)の2.を見るとイ.スボン等の着脱が一部介助となっており、その右に●印がついています。これはこの改訂版から採用されたもので、●印は一次判定の要介護度より重度の要介護度が想定されますよ。○印は反対により軽度の溶解度が想定されますよといった要介護度変更の指標ということです。
ということは、この●○が付いているということは一次判定の結果と状態像がずれている可能性を示唆しているということになります。 
さて、これからがビックリです。
そこで、「上衣の着脱」と「ズボン等の着脱」の「一部介助」を入れ替えてみました。な、なんと、見てください。要介護度2が要介護度4となってしまいました。要介護認定等基準時間は55.2分から53.3分と減少しているのに・・・ 上衣とスボンと交換したら要介護度が2つも変わってしまうのですよ。上衣とスボンにそれほどの差があるのでしょうか? はなはだ不思議で仕方がありません。
ちなみにこのチェックを入れ替えたものはこれですのでご確認ください。
介護保険スタート時より丸3年を経過しようとしています。この3年間我々審査会はどれだけこの一次判定ソフトに泣かされたかわかりません。公平公正という介護保険の軸を貫くために、どれだけの苦労を、そして汗を流してきたのでしょう。オンボロ一次判定に足を引っ張られ、見誤りそうになった要介護度を調査票と主治医意見書からくみ取り、状態像に即した要介護度を導き出してきたのは我々審査会です。多額の予算と多くの時間を要し改定された一次判定ソフトが、まるで子供だましのような代物でしかないということがとても腹立たしく思えます。
やっと3年かけて審査法を確立してきたのに・・・・・
こんな一次判定ソフトの改定ならば、返って今までの方がどんなにか良かっただろうに・・・・・
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