2009年改訂は審査会いじめ!!
 4月の改訂を受け一次判定ソフトの変更が行われた。公開されたロジックに沿って、介護度判定2009.β版を組み上げました。その過程でわかったことは、これまでは介護認定審査会で行っていた二次判定の一部を一次判定のロジックの中に取り込み、更には二次判定のための介護度別の状態像の例などの資料をすべて外したことです。

 結果として何が変わったかというと、介護認定審査会での一次判定を変えることが難しくなってきたということです。具体的な数字は持ち得ないが、私が審査会の一員として体感する一次判定の変更率は30%位はある。言い換えれば一次判定ソフトの感度は70%前後ということになる。この一次判定ソフトの精度不足を補っていたのが介護認定審査会の二次判定であるという現状を踏まえるならば、今回の改訂は状態像と相反する介護度判定が行われる危険度が増したということになります。

  • これまでとの相違点
  これまで 2009年改訂後 コメント
調査項目数 82項目 74項目 認定調査の煩雑性軽減のためというのが理由
中間評価項目 7群 5群 群分けの再編に伴ない2群減
一次判定ロジック 平成13年データが基礎 最新データを使用 今回の改訂にあたり最新のデータにてロジックを再構築したとのこと
予防・介護給付の判定 二次判定で 一次判定で 一次判定ソフトのロジックに組み込むことで判定
要介護度変更の指標 × 一次判定ソフトでの唯一の介護度変更の目安であったが削除されてしまう
日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布 × 削除により、介護度別の状態像を把握することが困難となる
状態像の例 × 各介護度別に10例の代表的状態像を調査項目で提供していたが、これを削除
要介護度別・中間評価項目群別の調査所見 × 状態像の考え方として、中間評価項目群ごとの傾向を提示していたが削除
要介護度ごとの調査項目の傾向 × 調査項目の選択肢の分布傾向と介護度の相関を提示したものを削除
要介護度別に見た中間評価項目の平均得点 × 中間評価項目の平均得点からの状態像を把握することが困難となる。
 
※ 厚労省より4月28日付で「介護認定審査会における参考資料の取り扱いについて」ということで、「日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布」(平成20年1月〜12月申請データ)及び「要介護度変更の指標」(平成16年度データ)が提供された。「要介護度変更の指標」については、平成21年度のデータをもとに新たに作成することのことである。ただし、この2つの取り扱いについては判定の妥当性を検証するためであり、これを理由に変更はできないとしているのは言うまでもない。(2009年6月1日追記)
  • 問題点
    • 一次判定のロジックについては、新しいデータを基に再構築したとのことなので実際の認定審査を待たなければ、その信頼性を論ずることは難しい。ただしロジック再構築に際しては基本的な考え方は従来のままであり、新しいデータに基づいたとのことであるが、その信頼性ははなはだ疑問だ。
    • 二次判定(介護認定審査会)においては、上図で背景色がグレーの部分が変更(削除)になった。これは二次判定にあたり、申請者の状態像と介護度別に示された状態像とをマッチングさせるのに特に重要な資料で、一次判定を変更するための審査会の拠り所であったのだ。結果として一次判定を変更することはかなり難しくなるだろう。
    • 厚労省は要介護度認定とは、病態により判定するものではなく、状態像からの介護の手間を時間に換算し介護度を判定するものだとしている。ところがその介護度別の状態を現すデータを削除しておきながら状態像と比較しろというのはナンセンスである。さらに厚労省は介護の手間の多い少ないで介護度を判定するように言っているが、その介護度ごとの「通常の介護量」については、審査会委員の専門性、経験に基づき判断するように言っている。状態像があって介護の手間が想定されるのであって、それを各委員の専門性、経験というのは論外である。
    • それではどうしてこのような改訂になったかと言えば、厚労省はこの制度を導入するにあたって介護認定はコンピュータによる判定を導入することによって中立性・公平性・平準化を目指していた。ところが一次判定ソフトの不具合によって状態像の逆転が頻発し、従来は補完的存在として位置付けていた介護認定審査会のウエイトが増したのである。制度発足10年を期して既定路線への修正を目論んだ結果とし、一次判定を偏重し二次判定を葬り去ろうとする魂胆の表れなのである。結果として審査会いじめの改訂となったのだ。
    • コンピュータによる一次判定はまさにデジタル化の時代の流れに沿ったものではあるが、果たして生身の人間の介護の手間に係る時間をプラスマイナスだけのデジタルで色分けできるのだろうか? 介護の受け手も、さらにはその担い手も血の通った生身の人間である。デジタルではカバーしきれないアナログの部分をどう読み取るかが介護の分野では重要だと思う。一次判定ソフトのデジタルの部分を補完し血を通わせて来たのが介護認定審査会であることを忘れてはならない。

 

戻る

Copyright(c) yahho-kaigo.jp All rights reserved