尾形医院
街のホームドクター

地域連携室
介護の相談窓口

湯ったり
しおや
サービス付き高齢者向け住宅

今年も皆様に大変お世話になりました。来年も宜しくお願い申し上げます。
今回は、当院で療養中の現役Drのお話です。プライバシーの問題もありますが、人とのつながり、出逢いは大切と思うお話です。登場人物は療養中の現役Dr、Drの病院で働きDrをよく知るHさん、Drの一番のお気に入り看護師Kさん、そして私Mです。
Drが当院で療養生活を送り始めた頃、私たちスタッフはよくDrに怒られていました言葉の使い方・ケアの仕方・返事の仕方など注意を受けました。Drが一番嫌いな言葉は「ちょっとお待ちください」です。ちょっとは「嘘をつきます」と言っているのと同じ。「ちょっと」ではなく5分なり10分なり具体的に言ってもらわなきゃ分からない
と。ごもっともなことでした。それからDrは私たち看護師の教育係を担ってくれました
正直、最初は気難しい人と思いましたがHさんの存在もあり、Drとはとても良い関係を築けるようになりました
Ns:「Dr、点滴のボトルを交換してきます!」
Dr:「・・・」黙ってうなずく
Ns:「Dr、胸が苦しいと言っている患者さんがいましたが、不整脈がなかったので様子をみます!」
Dr:「脈は何回?・それでいい」
Ns:「Dr、外来に患者さんが来たので行ってきます!」
Dr:「何の患者だったの?」
こんな会話を日常的にすることでDrとは患者と看護師の関係ではなく、Drと看護師の関係になっていきました名前でお呼びしたことはありません、みんなが「先生~」と呼んでいます
そんなDrは、私たち看護師の名前をなかなか覚えてくれません
お気に入りのKさんだけは覚えています
ほとんどは特徴で捉えていて、大きい人・年配の人・小さい人と言います。そしてなぜか私のことはMではないと言い張るDr。私がMですよと言っても「あなたは私を騙そうとしている」と言うんです
それを見かねたHさんが、ミドルネームを付けたらいいとDrに提案しました。私はその日から「キャサリン
」になりました
私がDrの部屋に顔を出し「私は誰ですか?」と聞くと満面の笑みで「キャサリン」と答えるDr。なんだか愛おしいくらいです
そんなお茶目なDrも時々弱いところを見せます。夏の頃から体調を崩すようになり、Hさんとはお盆大丈夫かな・・、秋の紅葉見れるかな・・、そんな話もしてきました。でもしっかり自慢の自宅の庭の紅葉も写真で見ました。紅葉が好き過ぎてDrが庭に紅葉を植えたそうです、なのでHさんは「もみじ男」と。そしてHさんは、私に「よっ!もみじ男!」とDrに言えと怒られると思いつつ恐る恐る「もみじ男!」と言ったらDrは笑っておられました
そしてまた最近も弱音を吐いています。生きているのは地獄、戦死した兄に会いたい・・。たくさんの命を救ってきたであろうDr、たくさんの人を看取ってきたであろうDr、戦死したお兄様の分まで生きているであろうDr。Drに最期の時がきたら、お気に入りの看護師KとHさんが見守りますよと話すと、泣きながらも最後は笑みを浮かべるDrがとても印象的でした。看護師の医療に関する相談から人生相談まで、ベッドで療養中でも私たちの教育係・相談役として活躍中の生涯現役Drのお話でした
と、ここで終わりにすればいいものを・・どうしても考えてしまう・・院長のこと・・。安心してくださいスタッフでいろいろ妄想はしています
おそらくじっとしていられないタイプなので、徘徊は想定内。外来で診察する雰囲気を味わう、飽きてしまったら病棟で回診という名の徘徊、それでも飽きてしまったら車に乗せて訪問診療の旅。院長専属NSが必要だ
みなさん良いお年をお迎えください